2008 Fiscal Year Annual Research Report
人‐システム‐ネットワークを考慮した危機対応における多組織連携のモデリング
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19710142
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 太郎 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (60436524)
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Keywords | 危機対応 / 組織シミュレーション / ネットワーク / ヒューマンファクタ |
Research Abstract |
危機対応における多組織連携をタスク, ヒューマン, ネットワークの観点からモデル化し, 危機対応システムを評価するシステムの開発を目指した. 上述の3要素を考慮した計算モデルを作成し, シミュレータの開発を行った。当該年度に実施した内容は以下の通りである。1) 連携におけるタスクモデル構築 : 関連法規, 各地域・業務防災計画と各種訓練シナリオ内容のタスク分析から多組織間連携の各タスク実行条件やプロセスパスの実情を把握し連携プロセスモデルを構築した. 2) ヒューマンモデルの構築 : 連携におけるヒューマンファクタ要素の現状を調べ、危機対応オントロジを用いてプロダクションルールとして記述、実装した。ライブラリには規範ルール、情況依存ルール、エラー対応ルールなど異なる種類のルールを実装した。これらのルール群の適用、不適用をパラメータとした。3) ネットワークモデルの構築 : インフラ、特に情報伝達ラインの機能モデルをネットワークとして表現、実装した. 4) 3要素の統合 : ネットワークモデル上にタスクモデル, ヒューマンモデルを連結し, 3要素を考慮した連携モデルを構築した. 下層の連結性が上層の実行条件となるように実装した。また、各モデルの設定インタフェースとして拡張PCANSモデルを用いた表現、記述を可能にした。5) 各モデルのパラメータを変化させたシミュレーションを行い、以下のことが示された。情況依存ルールの有無によって連携パフォーマンスは大きく影響を受ける。既存の規範ルールをベースとしたコミュニケーションライン被害への対応は最適とはならない場合が多い。既存の災害対応訓練のシナリオはしばしば現実性が低い。本研究の結果、今後、訓練シナリオのみならず災害時の医療ネットワークといったコンテキストを絞った危機対応システムを対象することで、より詳細なシミュレーションモデルの構築と現場との連携への展開を図る目途がたった。
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Research Products
(5 results)