2009 Fiscal Year Annual Research Report
社会基盤施設の機能障害を対象とした多次元リスク許容基準評価手法の開発
Project/Area Number |
19710149
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
梶谷 義雄 Central Research Institute of Electric Power Industry, 地球工学研究所, 主任研究員 (80371441)
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Keywords | 社会基盤施設 / リスク許容基準 / 経済影響評価 |
Research Abstract |
大規模な地震災害を経験した新潟中越地域における企業の調査結果に基づき,社会基盤(電力,水道,ガス,道路)の機能支障発生時における各企業の事業継続可能性ならびに操業レベルを推計するための統計モデルを作成した.各企業が事業継続を停止せざるを得ない限界の社会基盤の機能被害状態を推計モデルに含めることで,災害時の企業の操業状態をより精度よく把握できることが示された.本モデルとこれまでに検討してきた地域経済モデルを組み合わせることで,災害時における地域全体の経済的影響を把握し,各社会基盤の機能障害対策や復旧早期化の便益を推計することに役立てられる.しかし,従来の地域経済モデルは分析の空間スケールが大きく,局所的な社会基盤被害の影響を充分に反映することが困難となっていた.そこで比較的空間スケールの小さな1kmメッシュ単位の事業所・企業統計調査データならびに国勢調査データを活用し,新潟県中越地震の実際の被害状況を対象とした社会基盤被害の経済的影響を評価するマップを試作した. 一方,社会基盤の機能障害に伴って発生する人命リスクについても考慮し,初年度に行った生命に関するリスク許容基準を設定するためのパイロットスタディについて追加検討を行った.具体的には個人属性などを含めた多次元要因からなる個人のリスク許容基準を検討するための調査方法を提案し,大学生を対象とした追加のアンケート調査を実施した.本調査では,自然・技術的災害を含めた17種類のリスクを対象とした.調査結果の集計分析ならびに非集計分析を通じて,発生頻度などのリスクを規定する基本的な要因のほか,災害経験の有無やリスクの科学的解明状況に関する知識などが有意に影響を及ぼしていることが示された.本調査モデルは,リスク許容基準の決定だけでなく,より精度の高いリスク情報の提供がもたらす個人のリスク許容基準形成への影響評価にも活用できると考えられる.
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Research Products
(5 results)