2010 Fiscal Year Annual Research Report
アクティブ制御風洞を用いた大規模広域火災時の空中投下水散布最適化に関する研究
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19710158
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
菊川 裕規 大分工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (70321528)
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Keywords | 大規模火災 / 広域火災 / 空中消火 / 延焼防止 / 相似模型 / スタントン数 / 燃焼実験 / 木材クリブ |
Research Abstract |
阪神淡路大震災のような大規模な市街地火災は,道路の寸断による通行障害,及び消火栓の破損などによる消防水利の不足が予測される.このため大震災時の市街地火災に消防ヘリコプターによる迅速な空中消火に期待が寄せられている.しかし,消防ヘリコプターから散布される消火水を目標とする地点へ正確に投下することは困難である.また,ヘリコプターで1度に搬送できる水量は限られており,空中消火の効果に限界があることが予想される.これまでに実機のヘリコプターを用いた実規模実験が3回行われてきたが,ヘリコプターからの水の投下では,市街地火災を完全に消火することは困難とされている.しかし一方で,水の投下間隔の短縮や水の投下の方法を工夫するといった改善策は実規模実験では行われていない.そこで本研究では相似模型を用いて実規模実験の火災状況や消火効果を再現し,消火効果を検証することを目的とする. 本年度は,相似模型を用いて様々な条件で実験を行い,倒壊家屋の消火効果の検証および比較を行った.まず,実規模実験の火災状況の再現を行うため,木材クリブを用いた模擬家屋を製作し,模擬家屋を燃焼させて水を空中から投下した.投下水は,相似則より散水継続時間と空中投下水の粒径を考慮して設定し,実規模実験におけるヘリコプター高度より算出した高さから投下した.相似則を考慮して,投下水の命中率と投下間隔を変化させたときの消火効果の検証を行った。その結果,少量の投下水を空中から短時間に繰り返し投下しても,一時的な火災抑止効果は得られるが再燃する可能性が高いことがわかった.そこで,投下水の命中率を高めて,一度に大量の投下水を目標に投下することで再燃も抑えられ,高い消火効果が期待できることがわかった.さらに,風の影響を受けたときの延焼効果を調べた.風の影響を受けることによって温度上昇の時間が早まり,酸素供給により燃焼状態が長時間継続されることが分かった.従って,風の影響により燃焼状態が長時間継続されることで消火が困難となることが予想される. 今後,更に大規模火災を想定した火災状況を模型実験にて再現し,最適な空中投下水散布方法を提案する.
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Research Products
(2 results)