2008 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーシンによるヒト染色体の構造形成と遺伝子発現制御
Project/Area Number |
19710161
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂東 優篤 Tokyo Institute of Technology, バイオ研究基盤支援総合センター, 助教 (90360627)
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Keywords | コヒーシン / コルネリアデランゲ症候群 / ChIP-chip解析 |
Research Abstract |
コヒーシンサブユニットやコヒーシンローダーNipbl遺伝子に変異があるコルネリアデランゲ症候群(CdLS)の患者の抹消血よりEBウイルスによって不死化したB細胞を調製し、いくつかの解析を行った。調製したCdLS細胞は、分裂期におけるコヒージョン欠損の表現系は見られないことと、コヒーシンやNipblそのもののタンパク質量や染色体に結合するコヒーシンの量の変化はウェスタンブロット解析によって観察されなかった。しかしながら、マイクロアレイを用いた転写解析の結果、CdLS細胞群で、正常細胞で発現の見られたいくつかの遺伝子の発現量が減少していた。また、コヒーシンサプユニットScclのChIP-chip解析を行ったところ、CdLS細胞では、染色体上のコヒーシン結合領域の約30%においてコヒーシンの結合量が減少していた。コヒーシンの局在は、染色体上に広く分布しているが、その中でも特に転写が活性化している遺伝子上流近傍に濃縮が認められた。また、そのような領域において、CdLS細胞では遺伝子発現が減少し、遺伝子上流コヒーシンの結合量が減少している傾向が見られた。以上の結果から、コヒーシンが近傍の遺伝子の発現を調節する転写因子のような機能をもつ可能性が示唆された。
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