2009 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母の減数分裂特異的発現遺伝子群の包括的単離と機能解析
Project/Area Number |
19710164
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥崎 大介 Osaka University, 微生物病研究所, 助教 (00346131)
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Keywords | 分裂酵母 / 減数分裂 / 配偶子形成 / RNA / 前胞子膜形成 / オルガネラ / RNA結合タンパク / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
我々は多段差引法(段階的サブトラクション法)を用いて、分裂酵母の減数分裂で特異的に転写される多数(68個)のnon-coding RNAを単離した。次いで、これらと協調して機能する可能性のあるRNA結合タンパク質の機能解析を進めてきた。減数分裂期で特異的に発現誘導されるmug28^+はRNA認識モチーフを3つ持つタンパク質をコードする。mug28^+のmRNAとMug28タンパク質は減数第一分裂期から減数第二分裂期にかけて発現が誘導され、GFP-Mug28は主に細胞質に局在していた。mug28^+破壊株は減数分裂へ誘導すると、野生株と比較して顕著に胞子生存率が低下した。その形状を観察すると半数以上が、4胞子が出来たあとで胞子壁が出芽したような異常な形態を示し、2ケ(達磨状)あるいは3ケ(串団子状)の胞子を形成していた。電子顕微鏡観察(TEM)による解析により、mug28^+破壊株では胞子壁の厚い胞子や達磨状の形態が異常な胞子が数多く観察された。これらのことから、mug28^+破壊株では胞子成熟に異常が見られると思われたので、前段階で生じる前胞子膜の形成についてPsy1-GFPで可視化して破壊株の前胞子膜を詳細にタイムラプス観察によって調べてみた。その結果、4核を取り囲んだ前胞子膜から更に新たな前胞子膜が出芽して余分な前胞子膜が形成される様子が観察された。またmug28^+破壊株では前胞子膜の伸長を先導するMeu14タンパク質の挙動にも異常が見られた。以上の結果から、Mug28の機能は胞子壁の適正な成熟の制御であることが示唆された。Mug28と結合するRNAが同定できれば減数分裂特異的なRNAの制御を通じた胞子壁の成熟という珍しい現象が詳細に解析できよう。
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