2007 Fiscal Year Annual Research Report
S期タンパク質結合プロファイリングによるゲノム動態の解明
Project/Area Number |
19710165
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
加納 豊 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (90450593)
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Keywords | 染色体複製 / 複製開始点 / マイクロアレイ / 複製チェックポイント / ゲノム動態 |
Research Abstract |
生物はその遺伝情報の母体であるゲノムDNAを代謝(複製,分配,転写など)することにより生命活動を維持している。DNA複製はいくつかの制御機構と連携して正常なゲノムDNAの複製を完了させる。しかし,高等真核生物であるヒト細胞ではDNA複製の複製開始点はまだ数えるほどしか同定されておらず,複製開始とその進行や他と制御機構との連携との解析は他の生物より遅れている。そこで,ヒト細胞においてDNAチップ(マイクロアレイ)を用いた複製開始点の網羅的法の確立とその同定を進めた。 2.5mM ThymidineでS期に同調したHeLa細胞をBrdU(Thymidine analogue)と複製阻害剤Aphdicolin(polymerase αの阻害剤)で細胞を処理することにより,初期複製開始点をBrdUラベルした。BrdUを含むDNAを免疫沈降により回収し,1%のヒトゲノムを高密度(35bp)にカバーするマイクロアレイ上で検出を行った。その結果,いくつかの新規初期複製開始領域(例;7q31.1領域)の検出に成功した。その分布のほとんどが遺伝子をコードしない領域に存在していた。さらにAphidicokm処理時に複製チャックポイント阻害剤であるCaffeineにより処理し同様の実験を行った。DNA複製チェックポイントにより活性が抑制されていた後期複製開始点からの複製開始が確認された。HeLa細胞では,代表的な後期複製開始点であるβ-globin領域からの複製も確認することができた。また,今回検出した複製領域が通常の細胞周期でも初期であるかどうか,FISHを用いた複製タイミング決定法で確認したところ,マイクロアレイの結果同様S期初期に複製することが判明した。この結果はマイクロアレイの結果を支持していると考えられる。
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