2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝発がんの機序解明:肝前がん病変及び肝臓腫瘍のプロテオーム及びバイオマーカー解析
Project/Area Number |
19710167
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
木下 アンナ Osaka City University, 大学院・医学研究科, 助教 (60382222)
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Keywords | プロテオーム / 発癌 / プロファイリング / バイオマーカー |
Research Abstract |
本研究の特色は,前がん病変のマーカーであるGST-P陽性細胞巣という微小な病変における蛋白質発現パターンの相違や,実際に発現している蛋白・ペプチドの差異に注目し,肝発がんに関わる蛋白質を同定し,その機序の解明を試みることである。6週齢雄性F344ラットにDENを100mg/kg腹腔内投与し,PBをO及び500ppmの用量で混餌投与した。実験開始後10週で屠殺し,ラットの肝凍結標本を用いて,GST-Pの免疫染色を行い,Laser Microdissection法を用いて,GST-P陽性細胞巣を切り出し,SELDI ProteinChip Array及びQ-STAR Elite LC-MS/MS解析を比較しながら蛋白・ペプチド発現解析を行った。さらに,iTRAQ試薬とQ-STAR Elite MS/MSを応用することにより,蛋白の同定及び相対定量解析が可能となり,肝前がん病変の新たなバイオマーカーを発見した。肝凍結標本では,Q-STAR Elite LC-MS/MS及びProteinPilot Softwareの結果によりPBの高用量投与によるGST-P陽性細胞巣内にがん促進に関与すると考えられる75個の特異的な蛋白・ペプチド(例,cytokeratin 5,8,13,14,17,18,alpha-2-macroglobulin,apolipoprotein E,neurabin 1など)の発現が認められた。また,免疫組織染色及びReal-timeQ-PCRにより,GST-P陽性細胞巣(大)及び肝臓腫瘍におけるcytokerat in 8/18(CK8/18)の過剰発現が認められた。さらに,CK8/18陽性細胞巣の中に細胞増殖マーカーである,PCNA陽性な細胞の数が増加していることが明らかになった。その結果によりPB投与の肝発がんにおけるCK8/18はGST-P陽性細胞巣から肝臓腫瘍に進展する前がん病変の新たなマーカーであることが示された。
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