2009 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生阻害活性を有するコルチスタチンの全合成・作用機構の解明
Project/Area Number |
19710175
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山下 修治 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (50419991)
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Keywords | コルチスタチン / 血管新生阻害 / 抗腫瘍活性 / 収束的全合成 / イソキノリン / 求核付加反応 / ラジカル還元 / 連続四置換炭素 |
Research Abstract |
コルチスタチン類は2006年、小林らによって海綿Corticium simplexから単離された新規ステロイドアルカロイドであり、コルチスタチンA(1)は、血管新生過程で必須である血管内皮細胞(HUVECs)の増殖を強力に阻害(IC_<50>=1.8nM)すると報告された。1の血管内皮細胞に対する増殖阻害活性は、各種培養細胞と比較して3000倍以上の選択性を示すため、副作用のない抗血管新生剤と言える。血管新生が阻害されれば、ガン細胞はアポトーシスを起こし、結果的にガン細胞は小さくなるため、1は新規抗ガン剤として注目され、現在盛んに合成研究及び構造活性相関研究が展開されている。 今年度は、昨年度達成した形式全合成(Tetrahedron Lett. 2009)を改良し、独自に開発した方法によりコルチスタチンA(1)およびコルチスタチンJ(2)の全合成を達成した。共通の中間体を利用しながらも、反応条件の最適化を行うことで、1、2をそれぞれ効率的に作り分けることができた。また、全合成ルートを活用して、非天然物である2-デオキシコルチスタチンA、エピコルチスタチンJなど、合成アナログの調製にも成功し、構造活性相関研究など生物分子化学研究に使用可能な分子ツールを得ることができた。
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