2008 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性糖脂質分子を特異的に認識する新規合成プローブの創製
Project/Area Number |
19710182
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
櫻井 香里 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 特任准教授 (50447512)
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Keywords | 生理活性物質 / 糖脂質 / 分子認識 |
Research Abstract |
糖脂質は、細胞間相互作用、細胞内シグナリング等、様々な細胞プロセスにおいて、マイクロドメインと称される細胞膜上に局在する超分子構造形成を通して関与し、その重要性が近年注目を集めている。本研究では、マイクロドメインにおける糖脂質の役割の解明に向けて、糖脂質を特異的に検出する化学プローブの作成を目的とした。平成20年度においては、検出原理として糖脂質との相互作用によって誘起されるプローブ分子の構造変化の利用について検討した。モデル系ターゲット分子として、コレラ菌由来毒素タンパク質であるcholera toxinの細胞膜レセプターとして知られ、生化学的に解析が比較的なされている糖スフィンゴ脂質GM1を起用した。糖脂質検出プローブの基盤構造としては、既知のGM1結合活性型ペプチド分子群を選択し、これら分子及びそのレトロインバーソアナログを化学合成した。GM1との分子間相互作用によって誘起されるペプチドの二次構造変化をCD測定によって、また結合活性をELISAを用いたスクリーニングによって評価した。この結果、三種のペプチド分子についてGM1投与下でランダムコイル状からα-ヘリックス状に二次構造変化を起こすが認められた。ELISAにおいてこれら二種のペプチドはGM1に対してKd=200μM程度の弱い結合活性を示したが、他の一種は不活性であった。ELISAではGM1は固相にランダムに吸着されており、その分子の提示状態の制御が困難である。分子状態を制御し、細胞膜中でのGM1の集合状態を模倣する分子モデルを作成することが今後の課題である。
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