2008 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドβペプチド(Aβ)埋込蛍光タンパク質の構築とAβ集合体のFRET検出
Project/Area Number |
19710183
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 剛 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (90345380)
|
Keywords | アミロイドβペプチド / 緑色蛍光タンパク質 / 蛍光共鳴エネルギー移動 / βシート / タンパク質工学 / オリゴマー / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
アミロイドβペプチド(Aβ)の集合化・オリゴマー生成は、アルツハイマー病の発症と密接に関連している。本課題研究では、安定なバレル構造を有する緑色蛍光タンパク質(GFP)中のβシート上にAβ配列を挿入したGFP変異体(Aβ埋込GFP)を基に蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)型センサータンパク質を構築し、Aβ集合体のFRET検出を目的とした。昨年度の研究成果からGFP表面の4つのβストランド部位にAβ配列を挿入したAβ埋込GFP(SFAB4)は、表面プラズモン共鳴(SPR)法によりAβとの結合定数が約10^7と強い結合親和性を有することを明らかにした。本年度は、このSFAB4タンパク質および以前に構築した2本のAβ配列を挿入したP13Hタンパク質を土台として、シアン色蛍光を発するP13H-CFPおよび黄色蛍光を発するSFAB4-YFPの2つをフレキシブルなリンカー配列で連結したFRET型センサータンパク質(CFAB6)を構築した。 構築したCFAB6タンパク質の蛍光特性を評価したところ、Aβ配列を挿入していないものと比較して若干蛍光強度が低いものの、CFP部位からYFP部位への効率的なFRETが観測された。次に、CFAB6存在下にてAβをインキュベートし、Aβの集合化に伴うFRET効率の変化について評価した。その結果、Aβの集合化に伴いFRET効率がわずかながら上昇し、さらにインキュベートすることで、FRET効率が劇的に減少することが分かった。他の実験に基づく議論から、このFRETの変化は、Aβのオリゴマー形成(FRET効率の上昇)とAβのアミロイド線維形成(FRET効率の減少)に対応している可能性が示唆された。今後はこのFRET変化の詳細を明らかにし、より鋭敏にAβの集合体の大きさに依存してFRETシグナルが変化するセンサータンパク質の構築に繋げる。
|
Research Products
(4 results)