2008 Fiscal Year Annual Research Report
受容体型チロシンキナーゼ活性制御機構における膜貫通部位・膜近傍部位の機能解析
Project/Area Number |
19710186
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 毅 Osaka University, 蛋白質研究所, 助教 (90403013)
|
Keywords | 受容体型チロシンキナーゼ / 固体NMR / 膜蛋白質 / ライゲーション |
Research Abstract |
本研究は細胞の発生や分化に重要な役割を果たしている受容体型チロシンキナーゼ、特に繊維芽細胞成長因子受容体(FGFR3)の活性化メカニズム、活性制御のメカニズムにおける膜貫通(TM)部位、細胞質内膜近傍(juxtamembrane : JM)部位の機能の解明を目的したものである。膜蛋白質には、その膜貫通部位において活性に影響を及ぼす変異が見いだされているものが少なくなく、そのような変異を導入した膜内在・膜近傍部位配列ペプチドの脂質二重膜中での構造解析からは、膜蛋白質の機能発現機構に関して重要な知見が期待できる。今年度はJM部位と脂質二重膜との相互作用の解析を行った。試料は、野生型の配列、常時活性型変異が導入された配列に関して、蛍光物質を導入したものをそれぞれ、昨年に見出したネイティブケミカルライゲーション法を用いた調製法により調製した。両配列ペプチドを脂質二重膜に挿入の後、蛍光測定実験を行ったところ、JM部位は負電荷を有する脂質二重膜に静電的に結合し、系内にカルシウム/カルモジュリンを加えると、このJM部位は膜から解離することがわかった。これは我々が先に見出した受容体型チロシンキナーゼのJM部位機能に関するモデル、Electrostatic Engine Modelに矛盾しない。さらに、JM部位は脂質二重膜上で会合し、その会合の度合いが、野生型と常時活性型変異体とで異なることを見出した。昨年度見出したTM部位二量体会合面の違いと合わせて考えると、この現象はTM部位での構造変化が、JM部位にも影響を与え、挙動の違いとして現れることを示すという点で重要である。現在はこの詳細をNMRによって解析中である。
|
Research Products
(8 results)