2007 Fiscal Year Annual Research Report
蓮子心に由来するアルカロイドの構造および合成に関する研究
Project/Area Number |
19710194
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
西村 克己 Kobe Pharmaceutical University, 薬学部, 講師 (40441208)
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Keywords | 蓮子心 / ビスベンジルイソキノリン / アルカロイド / 不斉合成 |
Research Abstract |
本年度、本研究では以下の三つの成果を得た。(1)スイレン科の植物ハスの成熟した胚芽である「蓮子心」に含まれるアルカロイドの不斉合成を達成した。すなわち、窒素上にキラル補助基を導入したテトラヒドロイソキノリンをリチオ化した後、アルキル化を行い、ベンジルイソキノリンアルカロイドを高立体選択的に得た。これを銅塩を用いて、ウルマン反応によりカップリングさせ、蓮子心に含まれるビスコクラウリン型のアルカロイドを合成することができた。このカップリング反応は、従来報告されている方法では低収率であったが、反応条件の検討を行い、収率を向上させることができた。(2)不斉アシルPictet-Spengler反応を開発した。(S)ナプロキセンの酸塩化物を反応剤として用いることにより、反応の活性化と立体制御を同時に行い、対応するイミンから高ジアステレオ選択的にテトラヒドロイソキノリン誘導体を得ることができた。また、生成物の多くは、そのジアステレオマーをカラムクロマトグラフィーで容易に分離することができた。(3)蓮子心に由来する炭素-炭素結合で二量化したベンジルイソキノリンアルカロイドの合成の端緒を開いた。すなわち、本アルカロイドを構成する二つのイソキノリン骨格をつないでいる炭素-炭素結合の形成法を見いだすことができた。以上、本研究では本年度、蓮子心に由来するベンジルイソキノリンアルカロイド二量体の不斉合成に関する上記の成果を得ることができた。
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