2008 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファターゼプロファイリングを志向した新規共有結合型阻害剤の創製
Project/Area Number |
19710195
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平井 剛 The Institute of Physical and Chemical Research, 袖岡有機合成化学研究室, 研究員 (50359551)
|
Keywords | プロテインホスファターゼ / 有機合成 / 不可逆的阻害剤 / 蛍光ラベル体 / 分子プローブ |
Research Abstract |
我々が開発した両特異性プロテインホスファターゼ阻害剤であるRE誘導体を基盤として、昨年度は不可逆的阻害剤を創製した。この不可逆的阻害剤RE20は、Cdc25Aに対して高い阻害活性を有し、顕著な細胞増殖抑制活性を示すことを見出していた。さらにRE20を蛍光ラベル化した化合物を用いて、Cdc25Aと共有結合を形成することを明らかにしていた。しかしRE20は、同じDSPであるVHRに対する阻害活性は低下しており、細胞内のホスファターゼを網羅的に解析するプローブとしては理想的ではなかった。本年度は、まずRE20の構造活性相関研究に着手し、Cdc25Aの阻害活性は維持しながらも、高いVHR阻害活性を示す化合物を探索することにした。約50種類程度の化合物を合成し、その中からVHR阻害活性が約5倍程度向上した化合物を見出すことに成功した。 また昨年度検討していた蛍光ラベル体を用いた細胞内標的酵素解析では、蛍光タグの分子サイズがRE化合物とほぼ同等であることから、蛍光団の影響を排除できていない可能性が考えられた。そこで本年度は、蛍光タグではなくアルキンタグをRE20に組み込み、細胞内でタンパク質をラベル化した後、クリックケミストリーを用いてビオチンタグを導入するストラテジーへと変更した。種々条件検対した結果、本ストラテジーの基盤技術を確立し、ビオチンタグが導入された標的酵素群を検出することに成功した。
|