2009 Fiscal Year Annual Research Report
生物発光を活用した細胞や組織の可視化技術に関する基盤研究
Project/Area Number |
19710196
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
呉 純 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, セルエンジニアリング研究部門, 研究員 (90415646)
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Keywords | 生物発光 / ルシフェラーゼ / 光イメージング |
Research Abstract |
本年度は、ウミホタルルシフェラーゼを活用した生体イメージングプローブの開発を行った。ウミホタルルシフェラーゼは青い光を放出する。そのため、生体内のヘモグロビンの吸収による青い発光量の低減が予想されるため、ルシフェラーゼの糖鎖に近赤外線蛍光色素を導入し、人工的な生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)プローブを作成した。その結果、ルシフェラーゼの本来の青い発光ピックのほかに、新たな近赤外線の発光ピックが観測された。次に、発光タンパク質と医療抗体の候補の一つであるモノクローナル抗Dlk-1抗体とビオチン・アビジン結合で連結させ、Dlk-1抗原を発現しているヒト肝癌細胞株の可視化を試みた。抗原を発現するHuH7細胞は抗原・抗体反応によってラベルされ、細胞表面から発光活性が細胞用の発光イメージング装置よって観測された。さらに、Dlk-1抗原を発現するヒト肝癌細胞をヌードマウスに移植し、腫瘍が5mm程度の大きさに成長した段階で発光タンパク質と抗体との複合体を注入した。24時間後にマウスに再びウミホタルルシフェリン光学活性体を注射し、生体発光イメージング装置で観察した。その結果、マウスの腫瘍から高い発光シグナルが観測された。観測された発光シグナルはロングパスフィルターによる短波長の光の成分の除去操作を経て、BRETによる発光であることが判明した。一方、発光タンパク質の上にある蛍光色素を利用した蛍光イメージングでは、マウスの自家蛍光の影響で同じ腫瘍から特異的な蛍光シグナルは観測されなかった。このように、本発光タンパク質は培養細胞と動物個体のどちらでも利用可能な発光プローブである。
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