2008 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼生態系の健全化レジームシフトにむけた水生植物の発芽・定着条件の研究
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19710198
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西廣 淳 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (60334330)
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Keywords | レジームシフト / 非線形性 / 自然再生 / 発芽特性 / 土壌シードバンク / 湖沼 / 霞ヶ浦 / 印旛沼 |
Research Abstract |
植生帯が衰退・消失しつつある湖沼である霞ヶ浦および印旛沼における野外調査・野外実験を継続して実施するとともに、これまでの成果をとりまとめて数本の論文を公表した。霞ヶ浦での調査からは、水位のわずかな変化が湖岸の湿生植物の多様性を急速に変化させる可能性を支持するデータが得られ、その結果を活用して、水位管理に対する湖岸植生の応答変化についてのモデルを構築した。さらに、構築したモデルを用いて、水位管理に対する植生の変化予測を行った結果を論文として公表した。さらに、印旛沼において植生の保全・再生に配慮した水位管理を、管理者である千葉県が実施したため、その機会を活用した調査を行った。その結果、水位低下が沈水植物の再生に効果があることが検証された。沈水植物の再生は湖沼の健全化レジームシフトにとって本質的な要素であり、それに必要な重要要素の一つを明らかにすることが出来たといえる。今後は、霞ヶ浦においては、多様性が維持される重要な必要条件は明らかにされたため、健全化レジームシフトのきっかけになる攪乱の重要性を明らかにする実験を行う。これについては、平成20年度中に、ヨシ原に火入れや草刈などの攪乱を加える実験を開始している。印旛沼においては、局所的には沈水植物の再生の可能性が示されたため、今後、広域的な再生のために必要な条件(健全化レジームシフトを生じさせる水位の閾値など)を明らかにする実験を行う。なお、平成19年度中に調査を行った、悪化過程にある湖沼であるシラルトロ湖での植生と環境に関する研究の結果は、現在論文として投稿中である。
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Research Products
(12 results)