2007 Fiscal Year Annual Research Report
東北アジア白頭山地域における中世末の大規模森林破壊に関する総合研究
Project/Area Number |
19710202
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮本 毅 Tohoku University, 東北アジア研究センター, 助教 (90292309)
|
Keywords | 火山噴火 / 白頭山 / 中国 / 小規模噴火 / 森林破壊 / 長白山 / 地質学 |
Research Abstract |
本年度は白頭山10世紀噴火上位の土壌層中にある火山灰層について,地質学的・岩石学的研究をすすめることで,この火山灰層の起源として下位火山灰の再移動の可能性について検討し,同時にこの火山灰層の堆積時期について年代測定により決定することを目的とした。そのため8月末から9月にかけて白頭山周辺域において現地調査を行ったが,当初想定していたよりも対象とした火山灰層の分布域は限られることが判明し,(森林破壊由来による火山灰の再移動としても)その規模はあまり大きくはない可能性がでてきた。そのため,当初の目的に加え,10世紀噴火以降の噴火史についても検討できるよう,目的とした火山灰試料の採取とともに10世紀噴火噴出物上位の堆積物全般(主に土壌層)についても採取を行った。分析用試料の採取とともに14C年代測定用の植物体試料を採取し,これについては数点について年代測定を行った。しかし,分析に使用した試料の堆積物中での保存状態がよくなかったためか,いずれも期待した年代値(中世ころ)ではなく,modernの値が得られてしまい,これについては再検討を要する。10世紀噴火以降の堆積物については,対象とした火山灰は噴出物記載,及び化学組成的には10世紀噴火噴出物と類似しており,再移動による堆積物である可能性が高いといえる。白頭山東麓においては(再移動による)火山灰層以外の顕著な火山噴出物は認められないため,10世紀噴火以降の白頭山の活動度は低いと考えられがちである。しかしながら,土壌層中の粘土鉱物を検討すると,黄砂成分には含まれないスメクタイトが検出でき,これは水蒸気噴火のような小規模噴火に由来する成分と考えられることから,土壌の詳細な解析により灰層として認められないような小規模噴火でも,その頻度について検討できうる可能性が判明した。そのため,これについて次年度に精力的な分析を行う予定である。
|