2007 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジア社会の持続性:ウズベキスタンの近隣コミュニティ(マハッラ)の実態調査
Project/Area Number |
19710203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
ティムール ダダバエフ University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (10376626)
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Keywords | 中央アジァ / 持続性 / 地域社会 / アハッラ / コミュニティ / 地域開発 / 平和的共存 / 社会主義後の社会 |
Research Abstract |
研究の成果の内容 理論枠組みを実証するために、本研究ではウズベキスタンを含む中央アジア数力国で現地調査を行っ(海外旅費、謝金)。第一回は8月に実施した。現地調査の目的は、中央アジアにおける「マハッラ」の現状と、住民の認識について正確な情報を得ることであった。また、現地調査では、「マハッラ」に関連する諸課題にたずさわっている政府関係者・研究者・市民などが、近隣コミュニティとしての「マハッラ」についてどのように認識しているのかをアンケートやインタビュー、公文書の収集を通して把握することを試みた。調査地域は、フェルガナ地域、サマルカンド州、ブハラ州、カラカルパック共和国およびアフガニスタンに接するテルメズ市で行なった。 意義 ソ連崩壊後の転換期にある中央アジア諸国のような社会で平和と安定を達成するには、伝統的な近隣コミュニティを通した地域社会の役割が不可欠である。このことを明らかにする第一段階として、まず理論枠組みを構築した。それと聞き取り調査の結果を合わせると「マハッラ」のような近隣コミュニティが、ソ連時代、独立後を通して、形を変えつつも存続してきたことが、結果として人々の生活において一定の役割を果たしてきたという実態が明らかになった。その上で、伝統的な近隣コミュニティであるマハッラの提供する「公式」「非公式」な手殺が、地域社会の持続性を維持するとともに、社会の転換に伴う諸問題の解決に一定程度機能することを示す。 成果 本研究の成果の一部は主に二つの方法で公表した。そのひとつは国際会議(Central Asian Studies:History,Politics,Society)を組織・主催し聞き取り調査の結果について意見交換を実施した。そして二つ目の方法として、複数の雑誌論文を公表した上で、『ウズベキスタンのいま一変わる国、ゆれる心』(242ページ、アジア経済研究所)という単行本の刊行の準備を完了し、6月に刊行見込みである
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