2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国東北地区における植民地期以降の社会再編プロセス
Project/Area Number |
19710211
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
坂部 晶子 The University of Shimane, 総合政策学部, 准教授 (60433372)
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Keywords | 中国東北地区 / 「満洲国」 / 植民地研究 / 博物館 / オロチョン族 / エベンキ族 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中国東北地区をフィールドとして「満洲国」という植民地期以降の社会再編のプロセスを当該地の住民の視点から再構成し、植民地経験と当地の住民のアイデンティティ構成の関連について考察することにある。この目的にそって今年度行った調査・研究の概要は以下のとおりである。 本研究課題では中国東北社会におけるフィールドワークとデータ収集が重要である。第一に、北京市の中央民族大学においてフィールド先との調整をお願いしている研究者との打合せおよび資料収集を行った。 第二にフィールド調査として、昨年度に引き続き、中国東北地区、とくに黒竜江省哈爾浜市および内蒙古自治区の各地で現地調査を実施した。哈爾浜市では「満洲国」期関連の重要な記念館である「侵華日軍第731細菌部隊罪証陳列館」において当該陳列館の館長および調査担当者へのヒヤリングおよび資料収集を行った。 内蒙古自治区内の調査地点は以下のとおりである。ハイラルの「侵華日軍海拉爾要塞遺址群」、エベンキ族自治旗の「鄂温克博物館」、根河市の「敖魯古郷馴鹿文化博物館」、鄂倫春自治旗阿里河の「鄂倫春自治旗博物館」の各博物館・記念館等において展示内容の調査および展示方針について関係者への聞きとりを行った。またエベンキ族自治旗内の輝蘇木、根河市の敖魯古郷、鄂倫春自治旗においては、それぞれ植民地期、解放初期を経験した当事者へのインタビュー調査も行っている。 第三に「満洲国」期のフィールド調査に関連した資料収集を京都大学内の図書館で行った。 これらの調査データは、中国東北各地における集合的記憶の結節点としての記念館調査の一環であり、また植民地後の社会変動を多様な住民の視点から再構成していくために重要な資料となる。これらの調査成果の一部は下記の研究論文に反映されている。また研究テーマの主要論点について国内外のワークショップ等で報告し、検討を行っている。
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Research Products
(3 results)