2007 Fiscal Year Annual Research Report
マスキュリニティ・クライシスを経験した韓国男性の男性性に関する実証的研究
Project/Area Number |
19710220
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 正徳 Kyushu University, 大学院・人間環境学研究院, 助教 (40403977)
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Keywords | ジェンダー / 男性性 / マスキュリニティ / ヘゲモニー |
Research Abstract |
平成19年度は、大きく三段階に分けて研究を行なった。詳細は以下の通りである。 1.調査データの整理(4月〜6月) 平成18年度内に実施した関連する調査のデータ整理を行なった。具体的には、インタビューデータの韓国語と日本語へのテキスト化、インフォーマントの属性ごとのグループ分けなどである。 2.データ分析(7月〜10月) 整理されたデータを基に、インフォーマントごとに、マスキュリニティ・クライシスを経験した背景・原因・時期、その時の感情、クライシスから抜け出したきっかけ・方法について、本人の語り(語り方)を活かす形で抽出した。 その後、各インフォーマントの共通点・相違点を、それぞれの経験のあり方だけでなく、その経験の「語られ方」にも注目することで、ヘゲモニックな男性性の要素と、それが個々人の男性性に与える影響について、考察を行なった。分析のために補足調査の必要性が生じた場合には、その都度インフォーマントに連絡を取り、調査への協力を受けた。 3.仮説生成、次年度調査計画の立案(7月〜3月) 考察の結果、ヘゲモニックな男性性の三要素である「権力志向」「所有指向」「優越指向」を維持する形でクライシスを乗り越えた男性、既存の男性役割とは異なる役割を自身の男性性とすることでクライシスを乗り越えた男性など、クライシスの乗り越え方は多様であったが、共通して「男性」としての役割に固執していることが明らかになった。(この作業は、データ分析→仮説生成→データ分析→仮説生成というように、分析と考察を交互に行なうことで精度の向上を図っている。) よって、平成19年度の研究においては、上述の仮説を念頭に置きつつ新規インフォーマントへのインタビュー調査の実施と、データ分析作業を同時並行的に実施する。また、研究の精度を高めるために成果の一部を関連学会で発表する予定である。
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