2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本の性的マイノリティにおける名づけと自己表象をめぐる文化分析と理論構築
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19710222
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 晶子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (40361589)
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Keywords | フェミニズム / クィア / 自己表象 / 日本 / 性的マイノリティ / ディアスポラ |
Research Abstract |
1. 性的マイノリティの自己表象タ-ムとグロ-バリズムをめぐる学会発表およびパネル取りまとめ 2008年度女性学会大会発表(2008./6/15アピオ青森)「グローバル・クィアとホモセクシュアル・エグザイルの間で」(パネル「境界のクィア」) セクシュアリティにおける境界線を揺るがす概念であるクィアと、ナショナルな境界線の絶対性を覆す概念であるエグザイルやディアスポラとは、どちらも近代的アイデンティティの境界線に異議を唱える概念である。その二つの境界線がどこでどのように交錯するのかを問い直し、同性愛者の難民申請をめぐる状況を念頭におきつつ、この二つの鍵概念の両立可能性を模索する。 <フィ-ドバック> この発表では主に二つの鍵概念の限界と可能性についてこれまでの論考を整理しつつまとめることを主眼としたため、直接に日本の事例を数多く扱ったわけではなかたが、日本における同性愛者の移民申請の問題との関連などについて、興味深い指摘と応答があった。 2. 多様なメディアにおける性的マイノリティの自己表象の可能性と問題点をめぐるパネル参加 NWEC2008度交流事業「「男女共同参画のための研究と実践の交流推進フォーラム」(2008.8.30国立女性教育会館)パネル「情報発信メディアと男女共同参画の視点 : ミニコミからインタ-ネットまで多様な取り組み事例から」(ウェブネームにてパネリストとして参加) コミュニケーション空間における葛藤-発言者に対する-貫性や可視性への要請と、安定した-貫性に回収されない交流への欲望との-は、とりわけクィアな視点を取り込んだ性的マイノリティの存在主張において、切迫した問題となりうる。個人を特定の「人格」や「要素」に還元する「パッケージ化」の欲望と、「パッケ-ジ化」を逃れようとする欲望との葛藤に焦点をあてつつ、クィアなコミュニケーション空間の可能性を検討する。 <フィードバック> 広く一般に開かれたワークショップでもあり、またパネリストも多様であったことから、クィアという視点と自己表象の核となるアイデンティティあるいは「人格」への要請という問題をめぐり、多方面から活発な議論がかわされた。 3.単著_Lying Bodies : Survival and Subversion in the Field of Vision_(Peter Lang : 2008)出版 博士論文をもとに近年の研究成果をふまえ、自己表象の可能性と限界をめぐる単著を刊行した。
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Research Products
(3 results)