2008 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツの生命倫理論議にみられるキリスト教ならびに同教会の果たす役割に関する研究
Project/Area Number |
19720016
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
TOBIAS Bauer Kumamoto University, 文学部, 准教授 (30398185)
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Keywords | 宗教学 / 生命倫理 / キリスト教 / 宗教と医療 |
Research Abstract |
今年度当初に提出した「平成20年度科学研究費補助金交付申請書」に基づき研究を実施した。 (1)ドイツ研究調査旅行の実施 : DRZE研究センター、ミュンヘン大学図書館、バイエルン国立図書館、ドイツ福音教会宗務局で資料収集を行った。本研究プロジェクトのテーマであるドイツの生命倫理に対するキリスト教の立場に関する資料の中でも、出版されていない資料の収集、つまり日本では入手できない文献・資料も収集できた。また、ドイツ福音教会宗務局の担当者から、本研究プロジェクトに関する貴重な助言を頂いた。 (2)ドイツの生命倫理諸問題に対するキリスト教の立場の分析 : ドイツにおけるキリスト教の最も基本的なコンセンサスを示す共同見解である『神はいのちの友』の抄訳を作成し、発表した。それによって、聖書における「いのち」、またはそれに推論される生命に関する基本的な価値観を明らかにできた。そこで確認できたドイツのキリスト教諸教会の基本的な立場の生命倫理諸問題への具体的な応用については、脳死・臓器移植問題を一例に挙げ、平成21年度に調査する予定である。 (3)歴史的視点からみたキリスト教諸教会と生命倫理の関係についての研究 : ナチズム下での医療倫理上の犯罪が、現代のキリスト教諸教会の生命倫理諸問題への態度に大きな影響を残していることから、「生きるに値しない」生命の絶滅というナチズム的プログラムを、キリスト教的観念と一致させようと試みた福音派の神学者ヴォルフガング・シュトローテンケ(Wolfgang Stroothenke, 1913-1945)という、日独両国において現在までまだ殆ど研究されたことのない神学者の見解を分析し、発表した。
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Research Products
(2 results)