2008 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀フランスの絵画と挿絵における演劇・舞踊図像の実証的研究
Project/Area Number |
19720027
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安室 可奈子 Nihon University, 芸術学部, 研究員 (10419749)
|
Keywords | 演劇図像 / 18世紀 / ロココ美術 / モリエール / プシュケ神話 |
Research Abstract |
<2009年1月東京出張>一橋大学図書館社会科学古典資料センターにて、A collection of French XVIIIth century illustrated books(London, 1930)を閲覧。ブーシェの描いたモリエール挿絵についての調査を行った。青山学院女子短期大学図書館では、Charles Coypel : peintre du roi(1694-1752)(Paris. 1994)やAntoine Coypel, 1661-1722(Paris, 1989)等を閲覧し、コワペル一族の演劇・舞踊図像作例について調査した。 <2009年2月神戸、名古屋出張>甲南女子大学図書館(神戸)では、17, 18世紀の演劇台本コレクションの中から上記課題に関わるモリエールとバンスラードの台本を閲覧した6愛知県芸術文化センター・アートライブラリーでは、コワペル、ブーシェ、ヴァトーなどの、上記課題に関わる18世紀画家について資料を収集した。三重県立美術館では、ムリーリョの絵画作品を収蔵庫で拝見した。「捨てられたプシュケ」図像の系譜との大きな関わりを見出すことができた。 <2009年2月フランス出張>フランス国立図書館貴重書室、版画室にて18世紀に刊行されたモリエールやオヴィディウス挿絵本の閲覧を行った。ルーヴル美術館絵画資料室では、コワペル、ブーシェら上記課題に関わる18世紀画家たちの資料を収集した。ルーヴル美術館、ナンシー国立美術館、ヴォージュ県立美術館、トゥール国立美術館、狩猟と自然博物館(パリ)、スービーズ館(パリ)、フォンテーヌブロー宮国立美術館にてこれらの画家たちの絵画作品を実見した。またこれらの美術・博物館では、ロココ絵画が大いに影響を受けたルーベンスらフランドル・オランダ絵画も実見することができた。演劇史との関連においては、コメディー・フランセーズ(パリ)にて、ピエール・コルネイユ作の喜劇「舞台は夢」を鑑賞した。調査でパリに滞在中であった、17世紀演劇がご専門の中央大学教授・橋本能先生に面会し、研究の方向性について助言をいただいた。来年度に予定している口頭発表および論文執筆に活かすことができる多くの成果を挙げることができた。 <2009年3月紀要論文の刊行>以上の基礎研究の成果を踏まえて、次頁の通り、演劇・舞台芸術との関わりが密接な「捨てられたプシュケ」図像について、その図像系譜と展開および文学的背景をまとめた紀要論文を発表した。
|