2008 Fiscal Year Annual Research Report
和歌作品の調査、収集を通した鎌倉時代西園寺家像の再構築
Project/Area Number |
19720045
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Research Institution | Onomichi University |
Principal Investigator |
藤川 功和 Onomichi University, 芸術文化学部, 講師 (80403525)
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Keywords | 歌合 / 実氏 / 注釈 / 『院御歌合』 |
Research Abstract |
従来、西園寺家と和歌をはじめとする文学との関わりに関しては、四代実兼 (さねかぬ) については、多くの研究がなされてきたものの、他の当主の文学活動に関しては、これまで殆ど顧みられることがなかった。しかしながら、西園寺家の文学活動の中心をなす和歌活動は、単なる文芸活動ではなく、一つには、自家の政治的位置を天皇や院にアピールする手段として機能していたのであり、西園寺家の和歌活動を研究することは、和歌文学史の隙間を埋めるのみに留まらない。すなわち、今まで歴史学が史料として殆ど用いてこなかった和歌関係の資料を精査することによって、西園寺家が和歌を政治的にどのように利用して、朝廷、鎌倉幕府双方との関係を構築していったのかを明らかにすることを目的とした。 前年度で行った、和歌作品の調査、収集並びに注釈の成果を踏まえて、歴史資料と文学資料を総合的に集成した鎌倉時代西園寺家事跡年譜並びに、鎌倉時代西園寺家歴代当主全歌集を作成し、歴史資料と文学資料を総合した上での、鎌倉時代西園寺家の全体像を明らかにするとともに、鎌倉時代における<文学>と<政治>との因果関係の有り様についての論考を記した。 具体的には、「『弘長百首』攷-九条基家詠を起点として-」 (『国語と国文学』第86巻第2号2009年2月) で権門歌人の和歌作品の分析を行い、「宝治元年『院御歌合』注釈-「野外雪」題-」 (『尾道大学芸術文化学部紀要』第8号2009年3月・共著) ・「宝治元年『院御歌合』注釈-「忍久恋」題-」 (長崎大学教育学部紀要人文科学』第75号2009年3月・共著)、「宝治元年『院御歌合』注釈-「逢不遇恋」題-」 (『尾道大学芸術文化学部紀要』第8号2009年3月・共著) 、「宝治元年『院御歌合』注釈-「旅宿嵐」題-」 (『尾道大学日本文学論叢』第4号2009年5月刊行予定・共著) で、注釈的研究を行った。
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