2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720051
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Research Institution | International College for Postgraduate Buddhist Studies |
Principal Investigator |
箕浦 尚美 International College for Postgraduate Buddhist Studies, 仏教学研究科, 研究員 (70449362)
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Keywords | 国文学 / 仏教説話 / 金剛寺 / 孝養 / 偽経 |
Research Abstract |
研究対象が新出仏教説話集であることから、初年度の研究として以下の基礎作業と報告を行った。 1、「孝養説話集」の基礎的研究。金剛寺において、原本の調査・撮影を行い、本文の翻刻・訓読・現代語訳を作成した。 2、「孝養説話集」関連資料の調査と研究。国際仏教学大学院大学所蔵の金剛寺聖教画像データによって、金剛寺聖教の概要把握に努めた。金剛寺聖教のうち、説話関連資料や時代が近いと思われる資料については、金剛寺において閲覧調査を行った。また、所収説話と関連する『観世音菩薩往生浄土本縁経』を検討した結果、説話集全体に関わる偽経として再検討する必要が見えてきた。関連説話として、新たに『讃仏乗鈔』と『仏本行集経』の所収話を見出した。 3、学会への報告。アンカラで開かれたICANAS38(第38回国際アジア・北アフリカ研究会議)において、英語で口頭発表を行い、本説話集の存在とその意義を報告した。その日本語要旨は、デレアヌ・フロリン氏によって『東方学会報』93(2007年12月)に掲載された。英文論考は、ICANAS38当局による論文集に掲載される予定である。本発表では、インド撰述の本生経(ジャータカ)と比較することにより、本説話集に描かれる本生譚の特徴を指摘し、日本撰述の可能性を論じた。また、国際仏教学大学院大学学術フロンティア公開研究会(2007年11月)において、「金剛寺蔵佚名説話集に引用された経典の考察」と題して発表を行った。その概要は他の2氏の発表とともに『仏教タイムス』(11月22日付)に掲載された。本発表では、類型的な表現の多用や漢訳経典の表現の借用に着目し、各説話が比較的近い立場の者によって作成された可能性を指摘した。
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Research Products
(2 results)