2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720052
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
吉田 かつら (佐藤 かつら) Tsurumi University, 文学部, 講師 (20410045)
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Keywords | 歌舞伎 / 小芝居 / 興行 / 東京 / 明治 |
Research Abstract |
研究初年度は、小芝居各座変遷史・総合年表作成のための基礎調査を行なった。 1.行政文書の調査。東京都公文書館にて。目標とした明治30年代以降の文書は本年度中の調査では見出せず次年度の課題としたいが、新たに、吾妻狂言という芸能の資料を調査・収集し得た。吾妻狂言は明治初年の能楽とも関わり、小芝居の明治初期の形態として重要なものである。 2.役者・演目に関わる調査。早稲田大学演劇博物館・阪急学園池田文庫(以上番付・台帳)、東京大学国文学研究室・国文学研究資料館(以上台帳・周辺資料)、国立国会図書館・東京大学法学部明治新聞雑誌文庫(以上新聞)にて。(1)番付資料の調査・収集(複写)。結果として幕末の小芝居の新たな資料を得られた。(2)台帳の調査・収集(複写)。明治期の新しい芝居(新たな風俗や文物を取入れたもの)の台帳の新たな情報を得られたため、内容を分析中である。(3)新聞記事の調査・収集(複写)。今まで知られていなかった明治十年代の小芝居の興行記録を見出せた。 以上の基礎調査の上、特に2の(1)(3)についてデータの入力作業を進めた。1および2の(2)については次年度以降成果を公表すべく準備中である。なお、今年度に、科学研究費補助金による研究ではないが、以下の成果をまとめ得た。(1)明治期大阪の作者勝諺蔵の作品研究(「大阪の散切物「早教訓開化節用」をめぐって」『日本文学』56-10、2007)(2)歌舞伎の囃子方についての概観(「囃子方-歌舞伎芝居と都市社会の間で-」東京大学出版会『シリーズ伝統都市』に収録予定)(3)役者や作品についての基礎的事項の確認(吉川弘文館『明治時代史辞典』の項目執筆)(4)三遊亭円朝作品の劇化についての調査(「円朝作品の劇化-五代目菊五郎以前-」『鶴見大学紀要』45号、2008)。これらの成果には本研究を進める上でも有益なものが多く、総合して、次年度以降の研究を進めたい。
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