2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720056
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
加藤 昌嘉 Hosei University, 文学部, 准教授 (70335321)
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Keywords | 源氏物語 / 作り物語 / 写本 / 異文 / 本文研究 / 古筆切 / 散佚 / 巣守 |
Research Abstract |
1, 早稲田大学図書館において、江戸時代に書写された『源氏物語』写本、および、鎌倉~江戸時代の『源氏物語』注釈書・系図を閲覧した。 2, 関西大学において、『伊勢物語』写本・古筆切などを閲覧した。 3, 大阪大学において、江戸時代に書写された私家集類を閲覧した。 4, 名古屋市蓬左文庫において、鎌倉~江戸時代に書写された『源氏物語』写本・『葉月物語』の絵巻などを閲覧した。 5, 東京国立博物館において、鎌倉時代に書写された『萬葉集』写本・『和漢朗詠集』写本・『更級日記』写本を閲覧した。 6, 東京都美術館において、鎌倉~江戸時代に書写された私家集類を閲覧した。 7, 法政大学において、江戸時代に版行された『うつほ物語』版本・『狭衣物語』版本を調査した。 8, 池田氏所蔵の未詳物語の古筆切4葉を調査した。 9, 上記の調査をもとに、(A)『土左日記』『和泉式部物語』『源氏物語』における書写様態の原初形態の研究、(B)『源氏物語』の中の散佚した巻(巣守、桜人)の内容復元研究、(C)未詳物語と言われている古筆切約30枚の同定研究、(D)『八重葎』と『狭衣物語』の本文書き換えの研究、などを行った。それらの成果は、次頁の論文において公表した(一部は、現在、入稿中)。 10, 上記の調査・研究によって、平安時代の物語が、改行無し句読点無し作者名無しの写本として発生・流布し、鎌倉時代においても、他の物語と合流したり、書写者によって書き直されたりしながら、数百年をかけて成長・発展するものであることを、俯瞰的に明らかにし得た。「平安時代、物語はどのように作られ、読まれたか?」という問題究明のために、写本や古筆切の調査と、注釈書・日記・歌集のジャンル分析は、総合的に進められなければならないことを訴え得たかと思う。 11, なお、前年度の本研究の成果により、武蔵野書院から、《座談会:王朝物語の古筆切-巣守は幻か-》への参加要請を受けた。
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