2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代ドイツ言語論における詩の位置-ヘルダーリンを中心に
Project/Area Number |
19720061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畠山 寛 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 助教 (30401160)
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Keywords | ヘルダーリン / ドイツ文学 / 詩 / 詩学 / 言語学 |
Research Abstract |
平成19年度の研究成果として、まず、論文『パンそして葡萄酒-後期ヘルダーリンの接続詞と歴史のリズム』(研究発表欄参照)を発表した。当論文では、ヘルダーリンがいかに古代と近代とを捉えていたか、また、それがいかにヘルダーリンの言語観と結びついているかを示した。近代の詩人であるヘルダーリンにとって、自らの芸術の規範とも模範とも言える古典ギリシアを、どのように自分の詩学と連結させたかを解明するとともに、その連結作業そのものが作品を構成していることを明らかにした。古代と近代というテーマは、ヘルダーリンの同時代の言語学者フンボルト、ヤーコブ・グリムなどにも共通する問題であり、本研究の土台ともなるものである。 また、ヘルダーリン研究ばかりではなく、広く文献学のありように今もって多大な影響を与え続けているペーター・ソンディの『ヘルダーリン研究』の翻訳を仕上げた。現在は印刷中で、平成20年度中に公刊される予定である。この翻訳作業を通じて、ヘルダーリンの作品が現代の私たちにどのように読みうるのかを、改めて考察することとなった。なお、この翻訳は、「ヘルダーリン研究会」での議論を尽くして為されたものである。このヘルダーリン研究会に参加している研究者との討論や意見交換を通じて、私自身の研究の幅を広げることができた。 夏に渡独し、ドイツのヘルダーリン協会の本部が置かれているテュービンゲン、また、ヘルダーリン関係の資料が集められているマールバッハの文学史料館に行き、本研究に必要である資料の収集を行った。
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Research Products
(1 results)