2007 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス演劇におけるリアリティ構築と観客反応に関する研究
Project/Area Number |
19720062
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 未樹 Osaka University, 大学院・言語文化研究科, 准教授 (00324872)
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Keywords | シェイクスピア / イギリス劇場 / リアリティ / 劇場 / 観客 / 観客反応 / ルネサンス / 演劇性 |
Research Abstract |
イギリス演劇におけるリアリティ構築の過程を観客反応の観点から考察することを目的として、ルネサンス期の演劇を研究対象とし、以下の研究を行った。 1.妖精などの不可視の登場人物が舞台上でどのように再現されているかについて考察した。道徳劇及びエリザベス朝の三つの作品を比較しながら、演出方法の相違と変化について、上演の環境や衣装、演出家と観客の意識なども検討しながら分析を行った。成果として、"The Representation of Invisibility on the English Renaissance Stage"と題する論文を執筆した。 2.ルネサンス演劇における自己言及性の問題を特に観客反応の観点から観察することを目的として、三つの演劇作品の通時的分析を行った。各作品が演劇的自意識を基盤としてどのような演劇性を構築していくかについて、当時の舞台の物理的特徴や観客世界と舞台の関係にも触れながら検討した。成果として、「自己言及性と観客反応-『マンカインド』、『スペインの悲劇』、そして『テンペスト』と題する論文を執筆した。(上記1,2の論文はどちらも今年刊行される図書に掲載される予定。) 3.『アントニーとクレオパトラ』が建築の比喩を用いながらとのように政治の世界を描き出しているかについて、当時の建築理論を参照しながら考察した。その考察を元に、日本シェイクスピア協会の完国大会のセミナーで「『アントニーとクレオパトラ』における建築とローマ」と題する口頭発表を行った。 上記の三つの作業は、劇場の物理的条件や観客の意識など複数の要因を踏まえた上で演劇におけるリアリティ構築の問題を観察していく試みであり、次年度以降他の時代の演劇作品も分析対象とする予定である。
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Research Products
(1 results)