2008 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス演劇におけるリアリティ構築と観客反応に関する研究
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19720062
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 未樹 Osaka University, 大学院・言語文化研究科, 准教授 (00324872)
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Keywords | シェイクスピア / イギリス演劇 / リアリティ / 劇場 / 観客 / 観客反応 / ルネサンス / 演劇性 |
Research Abstract |
イギリス演劇におけるリアリティ構築の過程を観客反応の観点から考察することを目的として、ルネサンス期の演劇作品を研究対象とし、以下の研究を行った。 1. ルネサンス演劇における実体性・現実性と虚構性という相反する二つの側面の相互作用に関して、同時代の演劇・演技に関する理論を参照しながら考察した。成果として、日本シェイクスピア協会主催の第47回シェイクスピア学会(於岩手県立大学)においで「ルネサンス演劇における演技と現実性」と題する口頭を行った。 2. ルネサンス期の演劇作品においては、登場人物が悲嘆の台詞を述べる際に舞台に座り詠むという演出が多く見受けられる。このような形式的演技が同時代の、そして現代の劇場においてどのような観客反応を生起させるかについて、イギリスにおける演技論の通時的展開を参照しながら考察した。(その途中経過を現在、国際学会の口頭発表に応募中である。) 3. シェイクスピアの歴史劇作品における宗教問題と政治状況の関連性について分析した研究書であるJean-Christonhe MaverのShakespeare's Hybrid Faith : History, Religion and the Stageについての書評発表を関西シェイクスピア研究会2008年9月例会で行った。(その内容に加筆・修正した書評論文は、日本英文学会編のStudies in English Literature第50号に掲載が決定している。) 上記の作業は、ルネサンス期における演劇理論や、現代の演劇理論と関連付けながら当時の演劇作品におけるリアリティ構築の問題と観客反応の問題を考察していく試みである。
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Research Products
(4 results)