2007 Fiscal Year Annual Research Report
博物誌から国家史へ:18世紀末から19世紀のアメリカにおける歴史記述
Project/Area Number |
19720064
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Research Institution | Kochi Women's University |
Principal Investigator |
山口 善成 Kochi Women's University, 文化学部, 講師 (60364139)
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Keywords | 英米文学 / 文学一般 / アメリカ史 / 歴史記述 / 博物誌 |
Research Abstract |
独立直後から19世紀初頭のアメリカにおける国家史の形成について,本年度はまず地誌(geography)と歴史どの関係について分析を行った。Frederick Jackson Turnerを筆頭にこれまで多くの歴史家たちが指摘してきたように,アメリカの歴史は「土地」や地誌的な関心と非常に強い結びつきを持っている。これはアメリカの発展が主として荒野の探検や領土獲得といった地誌的な活動によって果たされたことによる影響が大きく,とりわけ18世紀末から19世紀初頭に出版された歴史書においては,歴史と地誌は互いに不可分であるばかりか,あたかも交換可能でさえあるかのような扱い方をされている。平成19年度はこのような歴史と地誌の深い結びつきを当時の歴史・地誌教育に焦点を絞って論じた(論文"American Geographico-History:Visibility and Timelessness of Emma Willard's Progressive Maps and History in Perspective"『アメリカ文学評論』20号:46-69)。平成20年度ほ同じテーマでより対象範囲を広げて論じ,Jedidiah MorseやJeremy Belknapの歴史における地誌の意義,さらにはアメリカ国家史の形成に果たした地誌の重要性を理論化したい。 以上に述べたアメリカにおける地誌と歴史との結びつきは,必然的にアメリカの「時間意識」と「空間意識」との結びつきに関わる問題になる。平成19年度は本研究課題のスピンオフとして,Herman MelvilleのRedburnを題材に,アメリーカ的な空間把握の仕方について論じた(口頭発表「レッドバーンのガイドブック:19世紀アメリカにおける旅と自己形成」中・四国アメリカ文学会冬季研究発表会,2007年12月8日)。平成20年度はこごで論じたごとをあらためて本研究課題に戻し,Francis Parkmanの歴史記述における「パノラミッグ」なスタイルについてまとめる予庭である.そして鷲津浩子・宮本陽一郎編『知の版図-知識め枠組みと英米文学-』に収められた論考「旅する歴史家-フランシス・パークマンの歴史記述における空間性と土地め記憶-」とあわせ,Parkmanの歴史記述をきわめてアメリカ的な特徴を持った歴史記述として再定義する計画である。
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Research Products
(3 results)