2008 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ・ルネッサンス期文学における風景及び空間表象のイデオロギー分析
Project/Area Number |
19720065
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
城戸 光世 The University of Kitakyushu, 外国語学部, 准教授 (10351991)
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Keywords | アメリカ文学研究 |
Research Abstract |
本研究は、19世紀アメリカ・ルネサンスの文学、特にナサニエル・ホーソーンの諸作品の研究に、昨今の生態学、歴史学、地理学、社会学、あるいは哲学など、様々な学問領域を横断する風景論や景観論という学際的な研究の成果を取り入れることで、作品に表象されている風景や、場所、空間などに内包された時代的イデオロギーを分析することにある。今年度は、本研究課題の取り組みの二年目であり、予定していたホーソーンとユートピア建設運動との関わりに焦点を当て、前年度及び今年度のアメリカにおける資料収集で集めた資料も参考にしながら、6月8日に行われた第37回中四国アメリカ文学会の年次大会シンポジウム、「Hawthorneと19世紀アメリカ社会」において、「19世紀版<丘の上の町>-ホーソーンとシェーカーとユートピア運動」と題して研究発表を行った。またその内容を報告論文としてまとめ、現在学会誌に投稿中である。また『アメリカ・エスニック文学研究』第五号に、昨年春に発表した原稿をまとめて、論文「ホーソーンとウィルダネス-<他者>への接近」として発表した。特に今年度は、本研究課題「アメリカ・ルネッサンス期文学における風景及び空間表象のイデオロギー分析」にも大きく関わるものとして、ホーソーンの諸作品における風景や場所表象を作品ごとに論じた博士号学位請求論文『ナサニエル・ホーソーンの場所表象-ウィルダネスからユートピアヘ-』をまとめることができ、2009年7月に広島大学文学研究科に提出、同年10月には博士号を授与されることとなった。古典アメリカ文学の作品分析に、風景論や「場所の感覚」といった最新のエコクリティシズムのアプローチを取り込んだことにも大きな意義があるといえよう。
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Research Products
(2 results)