2010 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ中学高校教科書におけるマーク・トウェイン―その改変と自己検閲の系譜―
Project/Area Number |
19720069
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石原 剛 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (00368185)
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Keywords | アメリカ文学 / 文学教育 / マーク・トウェイン / 学校教科書 |
Research Abstract |
本年度は、研究対象であるマーク・トウェインの没後100周年と重なったこともあり、研究内容について内外の研究者と交流する機会を多く持つことができた。特に、秋に開催された日本アメリカ文学会全国大会での記念シンポジウムでは、アメリカ文学の研究や教育における最も重要なテクストである4つの主要アメリカ文学史におけるトウェイン紹介に関する研究成果を発表する機会を持った。研究対象として、北米で出版された1910年代から2000年代のおよそ100年近くに及ぶ主要文学史を設定したが、研究の結果、トウェインに関する記述が、西部性の愛国的言説の強調から次第に多文化主義的言説にとって代わられる状況を明らかにすることができた。特に、文学史編集者や執筆者の学問的スタンスや、第二次大戦などの編集を取り巻く愛国的社会状況、80年代以降の多文化主義によるマイノリティ重視の学問潮流など、同時代の様々な影響の跡をみることで、文化的・社会的解釈を踏まえたより深い考察になるように留意した。尚、本シンポジウムでの成果は、2011年4月に出版予定の日本マーク・トウェイン協会の機関誌に発表される。 また、トウェイン没後100周年を記念して出版された日本初のトウェイン事典(『マーク・トウェイン文学・文化事典』)の主要編集・執筆者として研究の成果を一般読者に分かりやすい形で紹介する機会を持った。同事典では、主にトウェインと日本観連の記述を担当したが、トウェインの没後年表の作成においては、本研究を進める過程で発見した内容などを盛り込むことができた。 さらに、資料収集が遅れていた1960年代以降の教科書資料に関しては、2011年3.月にスタンフォード大学教育図書館教科書コレクションで集中的に収集を行った結果、教師用指導書を含め様々な貴重な教科書関連資料を入手することができた。
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