2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるゲーリー・スナイダーの受容と異化-1980年から2004年
Project/Area Number |
19720074
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
高橋 綾子 Nagaoka National College of Technology, 一般教育科, 講師 (30435416)
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Keywords | 日本におけるスナイダー像 / 柳田聖山 / 『頂上の危うさ』 / 日本におけるスナイダー研究 / 「部族」 / ビートニックの女性「メイ」 / 韓国におけるスナイダー研究 / 金関寿夫 |
Research Abstract |
日本におけるゲーリー・スナイダー受容を以下の4項目、(1)仏教、(2)大学テキスト、(3)日本の研究者、(4)「部族」における情報収集を行った。 (1) 大徳寺内の龍泉庵(第一禅協会)の松波和尚へのインタヴューを行った。第一禅協会で、仏典英訳プロジェクトの同僚である、花園大学学長の柳田聖山に寄稿したエッセーを、スナイダー本人から文献提供してもらった。 (2)大学テキストの中のスナイダー像大学院生を研究補助者として、独協大学の学部学生の、授業レポート、卒業論文、修士論文の調査を行い、学生におけるスナイダー像を検証した。詩集『頂上の危うさ』を学んだ学生によれば、スナイダーの自然の捉え方によって、自分の身近な自然の捉え方に変化を与え、生活を見直す機会を提供するものであるという。 (3) 日本の研究者におけるスナイダー像…日本の文壇にスナイダーが初めて登場したのは、1961年のスナイダー自身の執筆による。本格的な研究は、アメリカに遅れることほぼ10年の80年代である。現在、翻訳7冊、学術論文38本、博士論文3本、研究書2冊となっている。韓国では、翻訳数4冊、学術論文35本、博士論文2本である。中国では、翻訳1冊、博士論文3本、研究書1冊である。韓国、中国と比較すると、日本は翻訳数が多いことが主な特徴で、これにより日本の読者をより多く獲得できている。まだまだスナイダー研究は発展の呈を示すのであるが、2007年段階で、日本におけるスナイダー研究の傾向と今後の展望を思案してみたい。総じて、日本のスナイダー研究は、スナイダーの日本滞在を背景とし、アメリカ詩と日本文化の折衷や融合を論じた詩論を中心に、宮沢賢治、寒山、能、短歌、俳句、禅、真言密教、山岳信仰、日本のカウンターカルチャーの担い手である「部族」、『終わりなき山河』について、日本文化との比較研究が主になされてきている。 (4) 日本におけるスナイダー像エコロジストとして・「部族」のメンバー、メイ・小暮、ゴーシュ、ノンに対するインタヴューを彼らの住む、カリフォルニア州バークレーで行った。ビートニックの生活における、スナイダーの生活の実践の一端を知ることができた。
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Research Products
(4 results)