2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるゲーリー・スナイダーの受容と異化-1980年から2004年
Project/Area Number |
19720074
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
高橋 綾子 Nagaoka University of Technology, 工学部, 准教授 (30435416)
|
Keywords | 受容と異化 / 大地母神と「山の精」 / 日本におけるゲーリー・スナイダー研究 / 「部族」 / 共同体の指導者 / 環太平洋文学 / 禅とエコロジー / ジェーン・ハーシュフィールド |
Research Abstract |
ゲーリー・スナイダーの日本での80年代から現在(2004)に至る受容と異化を、日本文芸、大学テキスト、研究者、仏教・宗教学者、日本の研究者、エコロジストの5つの方面において、新しいスナイダー像を構築することを目的とした。 日本文芸におけるスナイダー像は、日本人が忘れかけていた東洋に出会う・日本人が見失った叡智の発見が見られた。大学テキストにおいては、自然再発見・環境問題を見直す態度育成・環境倫理を教えている。 仏教・宗教関係者においては、不殺生からエコロジー思想を形成したスナイダーの想像力に着目・大地母神という文学と宗教学という学問領域に共通する環境意識の形成を促したことが考察された。 エコロジストにおいては、スナイダーがアメリカに移住した日本人女性を支援・精神的なリーダーとなったことが海外調査により新たに見出された。 研究者においては、韓国、中国と比較すると、日本は翻訳数が多い。総じて、日本のスナイダー研究は、スナイダーの日本滞在を背景とし、アメリカ詩と日本文化の折衷や融合を論じた詩論を中心に、宮沢賢治、寒山、能、短歌、俳句、禅、真言密教、山岳信仰、日本のカウンターカルチャーの担い手である「部族」、『終わりなき山河』について、日本文化との比較研究が主になされてきている。 スナイダー研究に関連して、女性ビート詩人であるアン・ウォールドマン、同時代で環太平洋文学に属するジェーン・ハーシュフィールドのそれぞれの研究発表と研究論文を作成し、当初の計画以上に、多面的なスナイダー像の構築がなされた。
|
Research Products
(3 results)