2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720078
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
波潟 剛 Kyushu University, 比較社会文化研究院, 准教授 (10432882)
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Keywords | 文学一般 / 比較文学 / 国文学 / 昭和 / モダン |
Research Abstract |
本年度はプロジェクトの初年度にあたるため基本資料の収集・整理を中心に行った。 (1)「モダン」という用語が日本で定着するに至るプロセスを明らかにするために、1920年代から1930年代に刊行された辞書類や文芸雑誌、文芸叢書などを収集した。そのうえで、「モダン」「モダーン」「モダニズム」、「エロ」「グロ」「ナンセンス」といった語彙のあらわれ方を分析している。具体的には『モダン語辞典』『常用モダン語辞典』、『近代生活』『犯罪公論』、『新興芸術派叢書』『モダンTOKIO円舞曲』などを対象としているが、19年度は雑誌の見出しからそれらの語彙を整理している段階であり、20年度も継続して作業を進める。「モダン」という用語については、「女性(ガール)」、「生活(ライフ」、「主義(イズム)」という順番に語彙が接続していく傾向が見られ、さらに調査の範囲を広げることで説得性のある議論を進めたい。 (2)日本のモダニズム文学に取り入れられた素材の一つにスポーツがある。本研究では、(1)における調査の延長として、1920年代から1930年代において日本の主要なスポーツ雑誌であった『アサヒ・スポーツ』に注目して文学との関わりを調査した。その成果を「雑誌『アサヒ・スポーツ』の小説欄(上)-スポ根、ユーモア、そして戦争-」としてまとめた。『スポーツ・アサヒ』における「スポーツ小説」欄は1932年から登場し、1936年以降はほぼ毎号掲載されるようになることが分かった。本年度は調査範囲を1930年から1939年としたが、予想に反して小説の数が非常に多く、1940年以後の分も継続して調査を進める。
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Research Products
(1 results)