2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720078
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
波潟 剛 Kyushu University, 比較社会文化研究院, 准教授 (10432882)
|
Keywords | 文学一般 / 比較文学 / 国文学 / 昭和 / モダン |
Research Abstract |
本年度はプロジェクトの最終年度にあたるため収集した資料を基に考察を行った。 (1)1920年代から1930年代に刊行された辞書類や文芸雑誌などにおいて「エロ」「グロ」「ナンセンス」といった語彙のあらわれ方を分析した。具体的には『モダン語辞典』『モダン用語辞典』『サンデー毎日』『週刊朝日』『文学時代』『近代生活』などを対象としていたが、その範囲は日本国内にとどまらず、韓国や中国でも事例が見られた。その結果を、「昭和モダンと文化翻訳-エロ、グロ、ナンセンスの領域-」(『九大日文』13号、2009年3月)としてまとめ、東アジアにおいてモダニズムが生成する際の相互関係の重要性を指摘し、欧米からの文化翻訳に加えて、東アジア間の文化翻訳について研究することが必要であることを明らかにした。 (2)日本のモダニズム文学に取り入れられた素材の一つにスポーツがある。本研究では、(1)における調査の延長として、1920年代から1930年代において日本の主要なスポーツ雑誌であった『アサヒ・スポーツ』に注目して文学との関わりを調査した。その成果を「雑誌『アサヒ・スポーツ』の小説欄(下)-「鍛錬」の時代へ-」(2008年10月)としてまとめた。20年度は調査範囲を1940年以後としたが、実際には1942年で掲載が終わり、1920年代の継続調査の内容も補記している。19年度の調査結果とともに、雑誌『アサヒ・スポーツ』が、モダニズム文学とスポーツとの関係、そしてモダニズム文学と戦時期の文学との関係について考察する手がかりとなり得ることを明らかにした。
|
Research Products
(2 results)