2009 Fiscal Year Annual Research Report
韻律情報の有効性と視覚的文脈情報の関わりについての聞き手と話し手の立場からの検討
Project/Area Number |
19720092
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
広瀬 友紀 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (50322095)
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Keywords | 文理解 / 韻律情報 |
Research Abstract |
本研究では、視覚的文脈情報と文発話および文理解のそれぞれにおいて、視覚的文脈情報が韻律情報とその解釈にどのような影響を及ぼすかを検討することを目的としている。本年度は、非統語的諸情報を統制した言語材料を用いて、視覚的情報を操作したうえで、話し手を対象にした眼球運動測定実験および発話実験を行う予定であったが、研究代表者が産休を取得したため、実験の刺激文を作成するにとどまった。アクセント有無を統制したうえで、左右枝分かれ構造の曖昧性を有するフレーズを作成し、それに対しそれぞれの(左あるいは右枝分かれ)解釈に対応するオブジェクトを含む絵刺激を作成した。H22年に研究を再開し、刺激の自然さ評定等のノーミング調査を行った上で、眼球運動測定実験を行う予定であるが、そのための視覚刺激についても作成途中である。一方、昨年度より継続中であった形容詞付加位置に関する曖昧性を用いた読み時間実験については共同研究者を得て事象関連電位測定法を用いた実験としてデザインを再検討したうえでこれを遂行・完了した。この実験の当初の予測として、韻律的に複数のアクセント句からなる形容詞句では単一のアクセント句からなるそれに比べて、構造的に上位の名詞句に付加させる読み傾向を示すというものであったが、読み時間データ分析および事象関連電位のコンポネントパタン分析の結果、韻律的長さが形容詞句の付加位置に及ぼす影響は認められなかった。この実験結果に理論的考察を加えた論文を国内研究会で発表した。
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Research Products
(1 results)