2008 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア語名詞アクセントの動態と借用語の影響に関する研究
Project/Area Number |
19720094
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
安藤 智子 University of Toyama, 人文学部, 准教授 (00345547)
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Keywords | 音韻論 / ロシア語 / アクセント / 借用語 / 通時的変化 |
Research Abstract |
さまざまな言語からの借用語を含むロシア語の名詞パラダイムのアクセントパターンの変遷を通してアクセント規則の変容を明らかにしようとする本研究の中で、今年度は無意味語のアクセントを調べることにより、(1)ロシア語の名詞におけるストレスのデフォルト位置、(2)借用語のアクセントとデフォルト位置との関係、の2点の解明に取り組んだ。 その方法として、まずロシア語ネイティヴスピーカーに対し、既存の語や形態素を連想させないように配慮して作られた無意味語を文字によって提示し、ストレス位置を決めてもらうという調査を行った。その結果から、名詞の活用の種類(性)・音節数・音節構造・各音節の母音の広さ・母音字/o/の影響といった要因がストレス位置に影響を及ぼすか否かを調べ、デフォルト位置について考察した。さらに、その結果を、借用語のストレス位置の決定に強い影響を及ぼす語末要素の影響と比較した。 その結果、次のことが明らかになった。1)語末が子音である場合は語末音節、語末が母音である場合は次末音節にストレスが置かれることが多く、これがデフォルト位置と考えられる。2)音節の重さや頭子音の有無と数はストレス位置に影響を与えない。3)語幹において、広母音/a/あるいは字母oで表わされる母音を持つ音節は狭母音を持つ音節に比べてストレスが置かれることが多い場合がある。4)既存の借用語において偏ったストレス位置の分布を示す語末要素が、無意味語においても同じ偏りを示すとは言えない。これらの結果は、今後のロシア語アクセント研究において、固有語の形態素が持つアクセント特性とあわせて、変化の方向性を探る際に欠かせない基礎となるものと考える。
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Research Products
(1 results)