2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720107
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小西 いずみ Hiroshima University, 大学院・教育学研究科, 准教授 (60315736)
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Keywords | 提題表現 / 引用方言 / 方言文法 / とりたて表現 |
Research Abstract |
本年度は主に以下の5点を実施した。 (1) 共通語・方言および日本語史上の提題表現に関する文献リスト作成の補充。 (2) 日本語諸方言の提題表現に関するデータベースの校正・補充。 過去2年度に作成したデータベースの校正・補充を行った。方言の提題表現については,共通語同様,「は」相当助詞,φ(ゼロ形式)のほか,引用表現由来のもの,仮定表現由来のものがあり,なかには,共通語とは異なる由来を持っていたり,共通語とは異なる発達過程を遂げていたりするものがあるため,本データベースは,提題表現の発達過程の一般性と個別性,および,<提題>と他の文法・意味範疇との連続性を考える上で意義のあるものである。 (3) 臨地面接調査の実施とその結果分析,および,自然談話資料の収録・文字化・分析。 昨年度に引き続き,引用表現に由来する独自の提題形式(「チャ」「ユータラ」など)を発達させている富山・金沢・広島方言を対象とし,面接調査と談話資料の用例採集・分析を行った。また,新たに関西・東北方言域の談話資料の用例採集と分析を行った。上記(2)と同様の意義を持つ調査である。 (4) 江戸語~東京語・共通語(日本語標準変種)における文献の用例調査 引用表現由来の提題形式「って」の発達について,江戸後期から現代にかけての文献での用例を調査した。上記(2)に関連して,共通語における提題表現の発達過程を検証するためのものである。 (5) 西日本若年層を対象とした提題・とりたて表現の調査と,その結果の地図化 大学生を対象とし,提題・とりたて表現を含む方言事項のアンケート調査を行い,その結果を地図集として公開した。若年層の提題・とりたて表現についての研究や基礎的資料は少なく,それを補う意義を持つものである。
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