2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720107
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小西 いずみ 広島大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (60315736)
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Keywords | 提題表現 / 引用表現 / 方言文法 / とりたて表現 |
Research Abstract |
本年度は主に以下の3点を実施した。 (1)日本語諸方言の提題表現に関するデータベースの校正・補充:これには,論文等の研究文献をレコード単位とした文献リストと,方言の提題形式をレコード単位とし,それに情報源や記述内容を付したデータベースの2つに分けられる。このうち文献リストはweb上に公開する予定である。後者は下記(2)(3)に反映している。これらは,提題表現の発達過程の一般性と個別性,および,〈提題〉と他の文法・意味範疇との連続性を考える上で,基礎資料となるものである。 (2)臨地面接調査の実施とその結果分析,および,自然談話資料の収録・文字化・分析:過去3年度で対象とした北陸・中国・関西方言の面接調査と談話資料の収録・分析の追加・補充を行うとともに,新たに東北方言域の談話資料の用例採集と分析,四国・九州方言域での面接調査を行った。特に中国・四国方言の引用表現由来の提題形式については,その成果を研究論文として発表した。 (3)江戸語~東京語・標準語における文献の用例調査:引用表現由来の提題形式の,現代での意味・用法と,近代以降の発達過程について,文学作品や電子コーパスの用例調査を行って分析・調査した。特に,「というと」「といえば」「といったら」の複合辞としての用法について,コーパスを用いた計量的分析を行い,3形式の異同や,それぞれの構成要素の機能との連続性について考察した。その成果は,公開研究会のポスター発表,研究論文として発表した。
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