Research Abstract |
平成22年度は,前年度から継続して行っている,各アーカイブで利用可能な検索ツールによるメタファーの検出と分析に加え,Sketch Engineと呼ばれるコーパス検索・分析ツールの様々な機能を用い,類義語の語法・意味研究を行った.昨年度使用したUSA TodayとWashington Postなどの新聞アーカイブ・コーパスに加えて,Sketch Engineで利用可能なukWaCやBNCなどのコーパスで,それぞれの語の共起語や文法パタンを分析し,2語間での共通点・相違点を探った.また,課題となっていた語法や意味のジャンル別の比較については,新たにオックスフォード出版社のOECコーパスの提供を受けることで,解決を図った. 類語研究のケーススタディとしては,terrorとterrorismの比較をさらに進め,新聞アーカイブを遡るだけではなく,新たに追加されたデータも合わせて,年代ごとに分析することによって,2001年「対テロ戦争」開始以前と以降で使用頻度,使用される意味が大きく異なること,war on terrorとwar on terrorismの使用ピークの違い,英米紙で使用の傾向が異なること,近年急速にterrorの意味・用法がterrorismに類似してきていることなどを解明した.さらには,日本語でterror, terrorismに相当する「テロ」「テロリズム」についてもSketch Engine上で使用可能な日本語コーパスJpWaCによる調査を行い,英語のterror, terrorismの語法・共起語との比較を行った. 本研究課題は平成22年度が最終年度であるので,これまでの研究結果を学会で発表し,論文として刊行し,特にメタファー研究にコーパスを利用する研究手法については,コーパス言語学者のみならず認知言語学の分野の研究者にも広く知ってもらうため,その手法を詳説した.
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