2007 Fiscal Year Annual Research Report
英語語彙力における意味・音韻知識の関係性解明と両者の統合を促す学習システムの開発
Project/Area Number |
19720135
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石川 慎一郎 Kobe University, 国際コミュニケーションセンター, 准教授 (90320994)
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Keywords | 語彙処理 / 意味処理 / 音韻処理 / 反応速度 / 脳賦活 |
Research Abstract |
平成19年度においては,反応速度実験,および磁気共鳴脳機能画像撮像法.(fMRI)を用いた実験という2種類のアプローチから,日本人英語学習者による英語の音韻処理時と意味処理時の能内反応の違いを行動科学的手法によって分析した。具体的には、音韻処理として押韻性判断課題(doll/callなど),意味処理として反義性判断課題(up/downなど)を与え,反応速度と脳内賦活状況を調査した。また,ノイズを聞いて機械的にボタン押しを行うという統制課題を与え,統制課題によって引き起こされる反応を減算することで,意味処理・音韻処理に特化した反応を抽出した。一連の実験の結果,音韻処理と意味処理では脳内賦活の水準が異なること,賦活部位が異なること,また,初級学習者においては音韻処理時と意味処理時の脳内反応が異なっているが,上級学習者においては両者が一致に近づくことが明らかになった。このことは,初級学習者が英語の音と意味を独立的・個別的に処理する一方,上級学習者は両者を統合的・融合的に処理している可能性を示す結果である。語彙指導においては音韻と意味の両方が重要になるが、学習者の習熟度に応じてその提示のバランスに違いを設けることが学習効果を高める可能性が示唆された。すなわち,初級学習者にあっては意味中心,中級学習者にあっては音韻中心,上級学習者にあっては意味と音韻を組み合わせることがそれぞれの段階における脳内賦活をもっとも効果的に高める方法と考えられる。
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