2011 Fiscal Year Annual Research Report
第二言語における統語形態素とレキシコンの解釈・使用にみられる第一言語の影響
Project/Area Number |
19720139
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
奥脇 奈津美 都留文科大学, 文学部, 准教授 (60363884)
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Keywords | 第二言語習得 / 統語形態素 / 第一言語の影響 |
Research Abstract |
本研究では、言語の異なるモジュール(統語、レキシコン)に関する母語の関わりを検証することで、第二言語習得において第一言語の影響がみられるかどうかを検証した。今年度は、中国語を母語とする英語学習者に対して行った統語に関する言語調査の分析を行い、日本人から得られたデータと比較した。その結果、統語において第一言語の影響がみられることがわかった。今後、さらに多様な英語レベルの学習者に対しても同様の調査を行い、その影響がどの程度まで一般化できるのかどうかをさらに検証していきたい。 また、レキシコンに関して、第二言語学習者が類似語における意味の関連性をどのように捉えているかを調査することで、第二言語レキシコンにおける母語の関わりを考察し、学会発表、論文発表を行った。日本人英語学習者を対象に、意味関連性判断課題と文章完成課題を行い、その中で、日本人英語学習者が、L2語の意味表象をどの程度正確にわかっているか、L1相当語の影響があるかどうかを調べるとともに、L2語の意味の再構築の可能性について検証した。その結果、L2語彙習得において完全な意味発達は困難であり、一定程度の発達は可能であっても、L2語の意味を再構築し十分に発達させるには限界があるということが示された。同時に、語彙サイズの変化に伴い、段階的に発達する可能性のある領域であることも示唆された。今後は、さらに意味の再構築についてより多角的に調べるために、調査内容・方法を再考する必要があることもわかった。 さらに、第二言語使用におけるformulaic sequencesに関する研究にも着手し、これまで研究されてきた領域におけるさまざまな研究を考察した。formulaic sequences使用に関して、学習者コーパスを利用した研究や、その言語処理、言語表象に関する心理言語学的研究についての文献研究を行い、論文としてまとめた。
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