2008 Fiscal Year Annual Research Report
英語教員養成課程におけるメタファー分析に基づく職業的同一性の質的研究
Project/Area Number |
19720140
|
Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
長嶺 寿宣 Prefectural University of Kumamoto, 文学部, 准教授 (20390544)
|
Keywords | 英語教育 / 英語教師成長 / 教師信念 / 職業的同一性 |
Research Abstract |
本年度は, 前年度作成した質的データ・ベースを用いてデータのコード化と被験者の職業的同一性に係わるメタファー分析を実施した。データ分析においては, 各メタファーの背景にある「隠された意味」と「意味づけのされ方」を調査し, データのトライアンギュレーションと被験者によるメンバー・チェッキングを行った。また, 前年度の研究過程で判明した重要因子「被験者が抱いている英語科教育・英語教師に対する社会・世間一般のイメージ」について追加的な質的データ(in-depth interview data)を得るために集団インタビューを4回実施した。当該研究を通して, 教育実習を体験する前の時点において, 被験者の英語教師の役割に関する信念は既に形成・確立されており, 抽出された各メタファーの意味づけのされ方は被験者の過去の英語学習経験, あるいは生徒として英語教育を受けた過去の経験の「個人的な解釈」によって正当化されていたことが明らかになった。更に, 教育実習後, 全被験者において職業的同一性に係わるメタファー自体の変化は観察されなかったものの, 被験者は教育実習中に授業内外で生じた問題や出来事について能動的・自発的に分析・解釈を試みており, 結果として各メタファーの背後にある隠された意味や意味づけのされ方に変化がみられた。特筆すべきは, 教育実習後の全被験者に, 「他者(生徒や同僚の教員)の観点・視点」に配慮した意味づけのされ方が観察されたことである。これは被験者個人の信念と過去の経験の個人的な解釈によって職業的同一性が形成される時点が教育実習前であり, 「他者」の観点・視点を強く意識し始め, またその影響を反映させる形で被験者個人の信念, 特に職業的同一性に係わる信念が再構築されるのが教育実習中及び教育実習後であることを示唆している。当該研究を通して得られた知見を生かし教師信念研究に係わる学術図書を出版した。
|
Research Products
(1 results)