2008 Fiscal Year Annual Research Report
英語学習者のマルチモーダル音声対話データベースの構築-共同注意の観点から-
Project/Area Number |
19720148
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
谷村 緑 Kyoto University of Foreign Studies, 外国語学部, 講師 (00434647)
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Keywords | 共同注意 / マルチモーダル対話 / グラウンディング |
Research Abstract |
共同注意の観点から, 対話は, 参与者が協力・貢献しながら共通理解を図ることによって進行するというcontributing theory(Clark & Schaefer, 1987 ; 1989)を出発点に, 日本人英語学習者の課題遂行対話に見られるグラウンディング成立の過程を記述する. 具体的には, 英語母語話者同士の発話を調査しているClark & Krych(2004)の研究と比較する形で, グラウンディング成立の過程で, 非英語母語話者は対話で何をモニターして発話計画を行っているかを量的, 質的に検討する. 心理学ではかなり蓄積があるテーマであるが, 言語分析で示されている事実はまだ少ない. また, 計語を中心とした研究が多く, 非言語も含めた研究が必要である. このような観点に立ち, 心理学で言われていることをコーパス分析で検証するというだけではなく, 複数の現象が相互に作用していることを示すことを目的とする. 本研究の独創性は, 非言語情報を含む英語学習者と英語話者間のマルチモーダルな音声対話データベースを構築する点である. 非言語情報の記述方法はまだ確立しておらず, その開発が急務である. とりわけ, ダイナミックな対話のつながりの根底にある共同注意の記述は, どのようなメカニズムがコミュニケーション能力を支えているかを解明する手がかりとなり, 十分に研究する意義がある。本年度は, 昨年度収録した英語学習者間, 学習者と英語話者間のマルチモーダルな音声対話データベース(5分程度の課題遂行型で話を展開させていくもの)の計語情報と非言語情報の対応付けの研究と成果発表に当てる. データの傾向については, 平成21年度3月の社会言語科学会で報告済みである.
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