2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本中世の寺社と在地社会―地域社会における寺社の社会経済史的機能について―
Project/Area Number |
19720161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
及川 亘 The University of Tokyo, 史料編纂所, 助教 (70282530)
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Keywords | 日本史 / 中世 / 寺社 / 在地社会 / 薬師寺 |
Research Abstract |
本年度は、先ず前年度に整理と翻刻紹介を行なった史料編纂所所蔵「芝大宮町文書」について、既知の芝大宮町共有(京都市歴史資料館寄託)「芝大宮町文書」の算用帳や土地帳簿を併せて利用することにより、芝大宮町の財務構造について分析し、併せて芝大宮町の空間復元を行い、その結果を論文として発表した。その中で、芝大宮町の自立した財政の成立には、町の氏神である今宮神社が一定の役割を果たしていることが確認できた。今宮神社は氏神として町構成員の単なる精神的紐帯として存在するだけでなく、世俗的な人的結合や町の自立した運営を支える機能を果たしていることが明らかになった。 次に、初年度から分析を開始している薬師寺については、既刊の薬師寺所蔵史料から中世の財務部門ごとに寺家財政に関連する記事を抽出する作業、および既刊の南都関係者や公家の日記などから薬師寺に関係する記事を抽出する作業をほぼ終了し、未刊史料中の中世薬師寺関係の史料の抽出に着手した。中世薬師寺の財政は、寺家全体を統括する一つの部門により掌握されているわけではなく、各法会や色々な用途ごとに自立した固有の財務部門を構成し、それらの総体として成り立っているため、今後はそれらの部門ごとに考察を進める必要がある。また新発見の算用帳簿類の整理と撮影を進め、分析を開始した。これにより近世の薬師寺の構成員を明らかにして、中世からの組織の変質を追うことが期待できる。
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Research Products
(1 results)