2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720163
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
野田 有紀子 Ochanomizu University, 教育研究特設センター, リサーチフェロー (20447569)
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Keywords | 古往来 / 日本史 / 書状 / 古代史 |
Research Abstract |
研究2年目にあたる今年度は、平安期の古往来および古記録・古典文学・儀式書・和歌集などの史料を分析し、さらに中国の書儀(書状模範文例集)・書状の分析を開始して、日本古代における古往来の史学的利用に関する研究を進めた。 まず『明衡往来』をはじめとする平安期古往来のなかから、貴族間で交わされた「招待状」を収集し、貴族社会の交遊空間について考察した。その結果、こうした交遊空間においては漢詩・和歌・蹴鞠・管絃といった「能」を有することにより、従来の社会的範疇を超えた新たな関係を結び、維持することが可能であったことが分かった。この成果は「平安貴族の招待状-書状にみる交遊空間-」(第3回国際日本学コンソーシアム「食・もてなし・家族」歴史学部会」、2008年12月、於お茶の水女子大学)として口頭報告し、さらに研究論文「平安貴族の招待状-古往来にみる交遊空間-」(『人文科学研究』5号、2009年)に発表した。 また本年度は日本の古往来や書状の様式・内容に強い影響を及ぼしたとされる中国の書状模範文例集「書儀」との比較研究も開始した。1月にはフランス国立図書館旧館(パリ市)で敦煌ペリオ文書「朋友書議」を直接調査する機会を得、その作成過程・書写のあり方から、「書儀」が唐代辺境の官人層にも広く日常的・実用的に利用されていた実態を確認することができた。その成果は「フランス国立図書館所蔵敦煌ペリオ文書『朋友書儀』調査報告」(大学院教育改革支援プログラム「日本文化研究の国際的情報伝達スキルの育成」平成20年度活動報告書・海外教育派遣事業編)にまとめた。来年度は唐代を中心とする書儀・書状の〈内容〉を分析し、そこから当時の社会的関係がどのように見いだせるのかを探りたい。
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Research Products
(6 results)