2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720164
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大串 潤児 Shinshu University, 人文学部, 准教授 (90324219)
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Keywords | 日本史 / 社会教育史 / 大衆文化史 / 生活記録 / 社会運動 |
Research Abstract |
史料の残存状況がよくない部分はあるが、当初の予定通り、岩手県および長野県における社会運動・生活記録関係の史料を発掘・調査することが出来た。具体的には、(1)岩手県盛岡市・三上信夫氏旧蔵文書(生活記録・『働く母』揃および関連史料)、(2)長野県母親大会関連史料(長野県母親大会事務局所蔵)を収集・整理することが出来た。さらに史料の残存状況および三上信夫氏が社会教育関係者・教員であったことから、調査範囲を教育関係雑誌に拡げ、「母の歴史」を対象とする教育実践記録を収集することが出来た。生活記録運動については、東亜紡織の実践活動が史料状況を含めて研究的に改善・進展してきているので、「戦後日本における「世代」論の問題領域」(『歴史評論』第698号、2008年6月号)において研究上の課題点に言及した。こうした研究状況についての整理をふまえ、研究課題の挙げた「主として生活記録や、地域における教育実践記録などを素材とした民衆レベルの「母の表象」の特徴として分析する」ことの基礎的作業について見とおしをたてた。 「母親大会」関係史料については、いまだ重要な史料において欠落があるが、特に1960年代以降において系統的に議論の経過を追うことができる史料(大会報告集など)を収集できた。昨年度に収集した県婦人問題研究集会資料と合わせ、同時に各県の母親運動史を参照軸としつつ、長野県に内在した分析を行う条件を整えた。 大衆文化における「母の表象」については、映画関係雑誌を中心に引き続き史料収集中である。 また、史料整理を計画中であった長野県下伊那郡山吹村関係史料(記録映画「ひとりの母の記録」撮影地)は、都合により実施できなかった。
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