2008 Fiscal Year Annual Research Report
長登銅山跡出土木簡を用いた古代官営工房運営システムの解明
Project/Area Number |
19720169
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
竹内 亮 Nara Women's University, 全学共通, 助教 (10403320)
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Keywords | 日本史 / 古代 / 木簡 / 官営工房 / 労役 |
Research Abstract |
本研究の目的は、長登銅山跡出土木簡の正確な釈文を作成すること、および古代官営工房の運営システムを具体的に明らかにすることである。20年度は19年度に引き続き、長登銅山跡出土木簡に関する先行研究を批判的に検討し、公表されている釈文の再検討、および木簡群の性格に関する再検討を行った。この成果については20年度中に論文にまとめて投稿する予定であったが、諸事情により果たせず、21年度中に投稿することとなった。 本研究では長登銅山跡出土木簡の性格を、他の史料との比較によってより正確に分析することも目的としており、比較対象史料として正倉院文書続々修の写真版(マイクロフィルム紙焼)全点を揃えることによって研究環境を整えた。本年度はこの写真版を用いて東大寺写経所の運営システムに関する検討を行った。 また、官営工房である長登銅山の運営システムを解明するため、古代官営工房に関する比較検討を行つた。今年度は、瓦の生産システムについて考察を行つた。具体的には、河内国の鳥坂寺跡から出土した文字瓦について新たな釈読案を見いだし、その瓦が知識の寄進によるものであること、知識がサトを単位として編成されていることなどを明らかにした。その結果、従来は自発的な信仰集団と捉えられてきた知識について、律令行政単位を基礎とする労働力編成の一手段である可能性を指摘し、官営工房における労働力編成の多様性の一端を明らかにすることができた。この成果については、学会報告1件と論文2件によつて公表した。
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Research Products
(3 results)