2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720172
|
Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
伊藤 幸司 Yamaguchi Prefectural University, 国際文化学部, 准教授 (30364128)
|
Keywords | 語録 / 景轍玄蘇 / 『仙巣稿』 / 外交僧 / 洞春寺 / 九州 / 幻住派 / 大内氏 |
Research Abstract |
本年度は、まず景轍玄蘇の語録分析を中心に研究をおこなった。 景轍玄蘇の語録『仙巣稿』には、数種類の版本・写本が存在するが、ここでは国立国会図書館に所蔵される『仙巣稿』版本を底本として、テキストデータベース化をおこなった。 また、昨年度までの研究でおこなったの湖心碩鼎の『三脚稿』と『頤賢録』、嘯岳鼎虎の『嘯岳録』の各種語録のテキストデータの再チェックをおこなった。 さらに、昨年度に引き続き、山口市教育委員会(大内氏歴史文化研究会)と合同で、嘯岳鼎虎ゆかりの山口洞春寺の史料調査をおこなった。 研究論文としては、平安末から蒙古襲来、そして柳川一件までの「長い中世の外交状況」という視角から、東アジア通交圏の外交活動にかかわる禅僧の役割を考察し、そのなかで戦国期の外交僧を多く輩出した臨済宗幻住派僧を歴史的に位置づける「外交と禅僧-束アジア通交圏における禅僧の役割-」を発表した。 あわせて、幻住派が重点的に展開した九州地域の禅宗の歴史を概観した「中世九州・琉球の禅宗世界」も発表した。 以上の作業をもって「戦国期における禅宗語録史料の基礎的研究」における当初の目的を達成したと考えている。
|